命の水は橋下民営化で守れるか?

橋下維新の大阪都構想を支える目玉政策に二重行政の解消として鳴り物入りで打ち出されたのが、大阪府市の水道事業の統合問題。府市統合が破たんしたことで、大阪市を除く42市町村で構成する大阪広域水道企業団が結成されました。大阪広域水道企業団と大阪市営水道との統合が、大阪市議会の不同意で白紙になるや否や、それならと橋下市長が急きょ提案してきたのが、大阪市営水道の民営化方針でした。人が生きていくうえで、もっとも大切なライフラインの一つである水道事業を政争の具にしているのではないか。長年積み上げてきた市民の財産を安易に売り渡していいのか等々、不安を募らせる市民の声も聞かれます。

「水道事業の民営化と将来ビジョン」発表者 高橋 登(泉大津市議・元水道局職員) 当日の動画はこちら

水は人との間でどういうものか。持続可能な社会の中で水はどうなのか(要旨)

破たんする水道事業民営化の事例

1980年代後半からヨーロッパを中心に広がった水道事業の民営化
水道民営化形式にはコンセッシヨン契約、リース契約、運営管理契約などがある。 
全体を民間に任すと、水道管を末端の家まで担う事業のところで失敗することが多い。

貧困層に水道サービスを広げることに失敗 ラテンアメリカ。
民間企業が投資利益を追求した結果、水道料金が上昇 チェコ ハンガリー アルゼンチン。
漏水量(58%)民営化反対運動 マニラ ジャカルタ。
2008年 パリでは ヴェオリア、スエズなどの水企業と契約更新しないことを決定、再度公営化となった。 
水が末端にまで行き届かず住民が不満に チェコ ハンガリー。 
ドイツ ベルリン水道 多国籍企業破たん  ヴェオリア、テムズ 再度公営化。 
イギリス 水道の民営化反対 再度公営化を求める市民運動 再度公営化。 

ドイツ 水とビールの値段が変わらない。 水が高い、生活用水と飲み水は分けている。 日本のようにそのまま飲むことはない。日本は良質な水が提供されている。公共財 環境財としての水を考えよう。

水道民営化反対の論拠

民営化による水道料金の高騰。
住民に対する責任と説明責任が明確にされていない。
水は公共財という考え方 水供給サービスは、公共機関の関与は不可欠。

フランス グルノーブル市の運動では 緑の党が大きな役割をはたした。水は公共財
水は大地の血という考え方は、消費をしてもらってこそというビジネスと対立した。

ボリビアでは水省が設立された。
「水へのアクセスは領土に暮らす人々と生物の権利であり社会正義 連帯 公平 多様性持続可能性の価値で運用されるべきである。」として水は公共財であると宣言。
ウルグアイでは憲法にまで 書いてある。
水は命に不可欠な自然資源である。飲用水道と下水道サービスへのアクセスは基本的人権の構成要素である。

1970年代からの水道の広域化政策は、じつは水道事業が抱える多額債務の要因になっている。

日本の水道は総括原価方式。なぜ水道料金は上がるのか。1970年代から水道の広域化
都市への人口集中で水需要が上がる。それを広域化でまかなうため、開発費用がかさむ。

琵琶湖総合開発は1972年から 琵琶湖淀川水系に京阪神の水をすべてたよるようになった。

治水と水資源開発 1972~1996年で1兆9074億4300万円
琵琶湖開発総事業費 4266億円

問題点は琵琶湖を汚染されたら1400万人の水がとまってしまうという点。琵琶湖の大切さと複数の水源をもつ大切さのバランス。 地元の水脈は使わないと水質も悪化する。 
水に対し住民からのみえる化が阻害された。

従来は地域で水をまかなってきた 泉大津では地域の川と深い井戸があった。
大阪府水道から責任水量を押しつけられ、自己水(地域で自給する水)を放棄していった。
水への意識を住民から遠のかせた。地域から水が奪われてきた。水源を守る意識はすべての環境保護に通じる。

公営水道が今のままでいいわけではない。委託がすすんでいる。検針は民営化されている。技術的部分も含め、民間に移行している。これをどうしていくか住民といっしょに考えていく必要がある。
民間委託は要するに人件費を安くしているとされているが本当にそうなのか。本当に安くなっているのか。
どこで歯止めかけていくのか。公契約条例で歯止めをかける方法がある。安く職員を使わないことも大切。
管路耐震化 老朽管の更新計画と更新費用調達は住民との議論と徹底した情報公開が必要。


「大阪広域水道事業団の現状と今後の課題」発表者 松尾京子(高石市議・大阪広域水道企業団議会議員)


資料 
市町村独自でどれだけ水をまかなっているのか 自己水の割合へのリンク

浄水場の概要 浄水場へのリンク

大阪広域水道企業団との統合協議の取り扱い及び今後の水道事業の方向性について(案) 大阪市の資料へのリンク

大阪広域水道企業団の組織図 リンク


大阪広域水道企業団の将来構想 リンク

 
講演要旨

1.大阪広域水道企業団の沿革

2008年2月~12月     橋下府知事から平松市長に大阪府水道部と大阪市水道

(2月橋下徹氏 知事就任) 部の統合協議を申し入れ、4回の検証委員会を開催

2009年3月         大阪市が「コンセッション型指定管理者制度」を提案

2009年10月     府市合同で「コンセッション型指定管理者制度」導入

について、市町村に説明会を開催

2009年12月      

~2010年1月          市長会・町村長会で今後の水道事業統合に関する協議

2010年1月30日        大阪府営水道を受水する市町村の首長会議

○府域水道事業の今後の方向性を確認

・受水市町村の総意において、コンセッション方式は選択しない

・府域水道事業の今後の方向性としては、基本的に企業団方式で検討を進める

こととし、将来的には大阪市を巻き込んだ府域一水道を目指していく

・平成23年4月の企業団設立を目標にして検討を進めていく

2010年2月10日        大阪府戦略本部会議で、企業団方式の検討に市町村と一

体となって取り組むこと等を決定

2010年5月17日      大阪府営水道協議会 総会で、府営水道協議会案をとりま

とめ

2010年5月27日      知事と市町村長との意見交換会で、工業用水道事業も含

め平成23年3月の企業団設立を依頼

・大阪広域水道企業団設立準備委員会を設置することを確認

2010年7月29日     大阪府営水道を受水する市町村の首長会議で、規約(案)

を各市町村議会へ提案することについて合意

2010年9月から10月     府内37市町村議会において規約(案)を可決

2010年11月2日         大阪広域水道企業団の設立許可(構成団体:37市町村)

2011年1月20日         大阪広域水道企業団の構成団体の追加及び規約の変更

許可(構成団体:37市町村から42市町村に変更)

2011年2月10日         大阪府と大阪広域水道企業団とで事業承継協定を締結

2011年3月16日         大阪府議会において大阪府水道企業条例を廃止する条

例を可決(府議会で上記条例可決後に発動)

2011年4月1日         大阪広域水道企業団 水道事業(用水供給事業)及び

工業用水道事業の事業開始

  2011年10月         橋下徹氏 知事辞任

  2011年12月         橋下徹氏 大阪市長就任

   2012年3月          大阪市と広域水道企業団との水道事業統合委員会

~2013年5月      (計5回)開催

2014年5月          大阪市議会が広域水道企業団との統合案を否決

2014年6月         統合協議中止

2.大阪広域水道企業団とは?

   ① 大阪府内の大阪市を除く42市町村で構成された企業団であり、企業長は構成市

     の首長の互選で選出される(現在堺市長が企業長を務めている)

また、構成各市から選出された議員30名で構成される企業団議会が決定機関で

ある。

設立以来企業長は首長の互選となっているが、堺市長が続けている。議員は毎年選出の市もあるし、割り当てが3年に2回 というところや4年に1回というところもある。私(松尾)は毎年 出ているがこれは珍しい。毎年同じ人が出ないと議論の流れがわからず議会のチェック機能が働きにくい。

   ② 琵琶湖水系(淀川)から取水し、浄水・水質検査などを行い大阪府内(大

阪市を除く)の各市町村へ75円/1㎥+消費税で送水している。いわば水の

卸売のようなもの。

各家庭への配水や水道料金の決定などは、各市町村が行っている。

今までは水の卸問屋みたいなものだったのが、各家庭への配水もやろうという話が出ている。これは民営化への布石のひとつと考えられる。大阪市の資料には、将来的に広域水道企業団と一体化して民営化をする事が目標であるため、新たなアプローチ(大阪市の先行民営化)をして目標を達成する必要があると明記されている。大阪市の民営化は他人ごとではない。

2014年5月に大阪市議会が維新の会をのぞくほかの会派の反対で広域水道企業団との統合案を否決した。大阪市にメリットがないと理由で。資料参照大阪市の資料へのリンク

統合した時は大阪市の浄水場は企業団へ無償でわたす、土地の売却益は大阪市が使えるようにする、リストラして残った人は企業団がひきとるといった話だったようだ。水の使用量はへってきているので、浄水場は半分で足りる。

3.大阪広域水道企業団の今後

   ① 府域一水道を理念に、現在市町村が行う各家庭への配水についても企業団へ統

合する方針が打ち出されている

 ※その第一弾として、2014年4月22日に、四条畷市・太子町・千早赤阪村

と企業団との事業統合に向けての検討、協議に関する覚書が調印された。

         ・自己水の扱いは?

         ・広域災害時の対応は?

         ・水道料金は?     ・市町村職員の身分は?   などが今後注目される。

大阪市とほかの市の水道事業統合の話はなくなったが四条畷 太子町 千早赤阪村の水道局職員は企業団が引き取ることになりそうだ。

千早赤阪村は自己水が多いが水道料金は高い、コスト高と考えられる。企業団に給排水を任せると価格は下がるが自己水を手放す可能性大。

もし企業団と各市の水道事業が統合した場合、原水の会計と別に統合した市町村の特別会計を設けることになるだろう。大阪市は府全体の民営化を目標としている。大阪都構想といっしょで水道の民営化は関西財界の要請に基づくものではないかと考えている。

そもそも国が地方自治体の仕事に口をだすことに反対です。企業団は水の卸にとどめるべきで、需要にみあったサイズにダウンサイジングしていくべきと考えています。講演要旨以上

会場の発言より

大阪の水は以前は水質がわるかった、高度処理してよくなったが。ただ高度処理は費用がかかる。水質は地域の水の方がいい 地域で水を確保することの重要性がある。

国策として民営化 成長戦略の中に位置付けているか 世界の失敗例もある。成長戦略に公共財の水をたくせるのか。

水道料金を府内で一律化できないかという声に対し、一律料金は現実的ではない、水道事業団の一元化にすすんでしまう。

泉大津では井戸を指定して災害用井戸として守ろうとしている。

水道は公だから節水の呼び掛けができる。民間になると使ってもらわないと、浪費しないともうけにならない。